2024年2月18日(日)に、日本行動科学学会第39回ウインターカンファレンス(WC)の企画シンポジウム「日常と非日常をつなぐ社会心理学」で話題提供させていただきます。
「日常と非日常をつなぐ社会心理学」
2024年は年頭から能登半島地震,羽田空港の事故と大きな災害と事故が発生した。ここ数年を振り返っても,極端な気象と自然災害の頻発,COVID-19禍などを経験して,私たちは非常事態や緊急事態というものが身近にあることをあらためて実感する。それでもなお,そうした事態を非日常として切り離しておくことを望みがちである。いつか起こりうる望ましくない事態に目を向け,自分事とするためにはどうすればよいだろうか。
災害に遭遇すると,生活の再建に長期間を要する場合がある。その間の居住環境は,持ち家や復興住宅など多様にある。静間氏から,東日本大震災の被災地の市民を対象として,復興住宅における生活の実態や満足度に関する調査の結果を報告する。
災害や救急の際には,119番通報で消防機関に緊急援助要請を行う。119番通報は人命や被害規模を左右する,重要かつ困難なコミュニケーションである。木村氏からは,119番通報のコミュニケーションを対象としたこれまでの研究を紹介しながら,緊急時の円滑な通報のために何ができるかを提案する。
いつ起きるかもどの程度の被害になるかもわからないリスクを,人はどのように捉え,そして備えや対処をしているのか。塩谷(企画者)は,COVID-19や災害に対する対処行動やリスク認知に関する調査研究に基づいて,日常生活と切り離せないリスクとの付き合い方について検討する。以上の社会心理学的知見を手掛かりとして,本シンポジウムは日常と非日常をつなぐために会場の皆様と積極的に議論する場としたい。
企画・司会 塩谷尚正先生(梅花女子大学)
<話題提供>
復興住宅における生活実態と主観的評価
静間健人先生(東日本大震災・原子力災害伝承館)
市民と通信指令員による緊急事態のコミュニケーション:119番通報
木村昌紀(神戸女学院大学)
生活の中のリスクに対する認知と行動
塩谷尚正先生(梅花女子大学)