論文掲載・中国人留学生を対象とする日本の文化的特徴を反映した社会的スキル・トレーニングの効果性検証

神戸学院大学の毛 新華先生との共著論文が神戸学院大学 心理学研究誌に掲載されました。毛先生がこれまで取り組まれてきた中国人を対象とする社会的スキル・トレーニングの知見をベースにして、日本に留学している中国人留学生を対象に日本文化の特徴を反映した社会的スキル・トレーニングを行うことで文化適応の促進を目指した研究で、今回はこのトレーニングの効果検証を行いました。

毛 新華・木村昌紀 (2022). 中国人留学生を対象とした日本文化的社会的スキル・トレーニングの効果性   神戸学院大学 心理学研究, 5, 39-52.

【要旨】
本研究の目的は,留学生に日本文化的スキルを身につけてもらうSSTプログラムを作成すること,そして,プログラムの中国人留学生に対する即時的向上効果および持続効果を検証することである。先行研究を参考に,文化共通のスキルと日本文化的スキルのそれぞれをトレーニングできるプログラムを作成した。中国人留学生22名を実験群とし,作成されたプログラムを実施した。また,別に収集した中国人留学生252名の社会的スキル尺度のデータを用いて,比較群とした。実験群内における測定時期の比較,そして,実験群の各測定時期と比較群のそれとの比較という2種類の分析を行った結果,中国文化的スキル尺度の得点に変化が見られず,文化共通のスキルと日本文化的スキル尺度の一部に得点の向上がみられた。しかし,3ヵ月後の持続効果はごく一部の尺度に限定されていた。これらの結果を踏まえ,本研究で作成したプログラムの有効性を確認できた。今後,中国人留学生への普及が期待される。

兵庫県広域防災センター・兵庫県消防学校での幹部教育研修

2022年12月20日(火)兵庫県広域防災センター・兵庫県消防学校からご依頼いただき、幹部候補職員の方を対象に研修を行い、講師を担当しました。
兵庫県下19消防本部から25名、滋賀県・京都府下の5消防本部から6名の幹部候補職員の皆様にご参加いただきました。

「現場活動・緊急事態の心理学」をテーマに、(1)災害現場の特徴とその心理、(2)いかにリスクと向き合うか(リスクテイキング)、(3)いかに失敗を想定するか(ヒューマンエラー)、(4)緊急事態対応の初動:119番通報について、心理学の観点から、これまでの研究・教育活動の取り組みを踏まえて解説しました。グループにわかれてディスカッションを行っていただき、参加いただいた幹部候補職員の方からは多くのご意見・ご質問をいただきました。

これから兵庫県や滋賀県、京都府の各消防本部において、参加いただいた皆様がリーダーシップを発揮される中で、難しい状況が多いとは存じますが、今回のお話が何か少しでも役立つこと、円滑・安全な職務遂行につながることを願っております。