2024年3月16日(土)、すみだリバーサイドホールで第6回 通信指令シンポジウムが開催されます。その中のパネルディスカッション2「多種多様な通報(技術革新)と通信指令」で、「映像通報システムの可能性と課題―模擬通報実験とオンライン調査から―」というタイトルで発表します。西宮市消防局に協力いただいた映像通報システムを用いた模擬通報実験と、昨年実施した映像通報システムに関するオンライン調査の結果をもとに、その有効性や市民からの期待と、今後さらに活用するための課題点についてお話します。
webメディアにインタビュー記事掲載・119番通報の心理学
株式会社EXIDEAの『So-gúd(ソウグウ)』にて、インタビュー記事「命をつなぐ緊急時のコミュニケーションー映像通報システムや#7119など相談窓口の活用ー」が公開されました。
第127回 近畿救急医学研究会 メディカルスタッフ部会 教育講演
2024年3月2日(土)、神戸国際会議場で第127回 近畿救急医学研究会が開催されます。メディカルスタッフ部会で「救急医療におけるコミュニケーションはどうすれば上手くできるのか。~医師・看護師・メディカルスタッフ等のチーム医療の実現に向けて~」を実施します。その中で、基調講演「救急医療へのコミュニケーションの心理学の活用」を担当します。
【概要】救急医療の現場では、時間的制約がある中で、さまざまな専門の医療従事者が協同・連携し、患者の健康を守り、命を救う。救急医療におけるコミュニケーションは、患者と医療従事者の間はもちろん、医療従事者間でも行われる。患者の健康や命を左右する点で極めて重要であり、同時に困難さが伴う。困難さの理由として、コミュニケーション全般に関わる問題はもちろん、刻一刻と患者の容態が悪化しうる「緊急事態」、多くの人が関わり、協同・連携している「集団」状況、医療の高度化や専門分化に伴うチーム医療としての「多職種連携」などの要因が複合的に影響していることが考えられる。そのような中で、どのようにしてコミュニケーション・エラーやチーム・エラーを防止するか、チーム内でメンタルモデルをいかに共有するかが課題であろう。本講演では、救急医療のコミュニケーションの困難さを心理学の観点から紐解く。はじめに、コミュニケーションの心理学の基本的枠組をお話する。次に、緊急時の心理や集団の心理を解説する。講演後には、救急医療現場で尽力されている多様な専門職の医療従事者の皆様からお話をいただく予定である。コミュニケーションの心理学を救急医療に活用することで、また、現場のお話を参加者の皆様と共有することで、円滑な連携につながり、より多くの患者の健康や命を守ることができればと願う。
秋田県の通信指令・口頭指導研修会
秋田県主催、秋田県消防長会と秋田県メディカルコントロール協議会の後援で、令和5年度 通信指令・口頭指導研修会が秋田県庁の災害対策本部室で2024年1月23日(火)~25日(木)の3日間開催されました。この研修会は、119番通報を受信する通信指令員が救急要請に円滑に対応するためのコミュニケーション能力や、必要に応じた応急手当を助言するための専門的な医学的知識などの習得やスキルアップを目指すものです。秋田県では通信指令員の育成に早くから尽力されているとともに、住民に対する119番通報の周知活動もされています。例えば、秋田市消防本部では、火災や救急の場面で円滑に通報できるように市民を対象に119番通報のシミュレーション講座を行っています。
秋田県総務部総合防災課からご依頼いただき、2024年1月25日(木)に「通信指令コミュニケーションスキル」というタイトルで心理学の講義を担当しました。秋田県内で通信指令業務に関わる消防職員18名に参加いただきました。コミュニケーションの心理学の全般的なお話から、緊急時の心理、119番通報における通報者や通信指令員の心理、これまでの研究知見について解説しました。参加いただいた通信指令員の皆さまに大変熱心に受講いただきました。秋田県の住民と通信指令員の皆様が、緊急時に円滑にコミュニケーションを行い、被害を抑え、多くの命が救われることを願っています。
日本行動科学学会WCシンポジウム
2024年2月18日(日)に、日本行動科学学会第39回ウインターカンファレンス(WC)の企画シンポジウム「日常と非日常をつなぐ社会心理学」で話題提供させていただきます。
「日常と非日常をつなぐ社会心理学」
2024年は年頭から能登半島地震,羽田空港の事故と大きな災害と事故が発生した。ここ数年を振り返っても,極端な気象と自然災害の頻発,COVID-19禍などを経験して,私たちは非常事態や緊急事態というものが身近にあることをあらためて実感する。それでもなお,そうした事態を非日常として切り離しておくことを望みがちである。いつか起こりうる望ましくない事態に目を向け,自分事とするためにはどうすればよいだろうか。
災害に遭遇すると,生活の再建に長期間を要する場合がある。その間の居住環境は,持ち家や復興住宅など多様にある。静間氏から,東日本大震災の被災地の市民を対象として,復興住宅における生活の実態や満足度に関する調査の結果を報告する。
災害や救急の際には,119番通報で消防機関に緊急援助要請を行う。119番通報は人命や被害規模を左右する,重要かつ困難なコミュニケーションである。木村氏からは,119番通報のコミュニケーションを対象としたこれまでの研究を紹介しながら,緊急時の円滑な通報のために何ができるかを提案する。
いつ起きるかもどの程度の被害になるかもわからないリスクを,人はどのように捉え,そして備えや対処をしているのか。塩谷(企画者)は,COVID-19や災害に対する対処行動やリスク認知に関する調査研究に基づいて,日常生活と切り離せないリスクとの付き合い方について検討する。以上の社会心理学的知見を手掛かりとして,本シンポジウムは日常と非日常をつなぐために会場の皆様と積極的に議論する場としたい。
企画・司会 塩谷尚正先生(梅花女子大学)
<話題提供>
復興住宅における生活実態と主観的評価
静間健人先生(東日本大震災・原子力災害伝承館)
市民と通信指令員による緊急事態のコミュニケーション:119番通報
木村昌紀(神戸女学院大学)
生活の中のリスクに対する認知と行動
塩谷尚正先生(梅花女子大学)
高知県消防長会「通信指令研修」担当
2023年11月22日(水)に高知県消防長会からご依頼いただき、高知市東消防署で心理学の講演を行いました。今回の研修は、高知市消防局から企画いただき、高知県消防長会主催で実現しました。高知県内15消防本部から、119番通報を受信する通信指令員の消防職員35名に参加いただきました。
高知県では、高知市と土佐市が2023年11月9日(木)から通信指令センターの共同運用を開始されています。県全体でも、緊急時に住民の声を最初に聴いて対応する通信指令員の育成に注力されています。
今回の研修は「通信指令の心理学」をテーマにして、「コミュニケーションの心理学」「緊急時の心理学」「通報者と通報指令員の心理学的研究」の3部構成で行いました。大変熱心に受講いただき、体験課題にも積極的に取り組んでいただきました。
今回の研修会が、緊急事態において高知県内の通信指令員と住民の皆様との円滑なコミュニケーションにつながり、大切な命や財産が守られることを願っています。
【高知・土佐消防指令センター パンフレット抜粋】
兵庫県消防学校「通信指令科」
兵庫県広域防災センターからご依頼いただき、2023年11月8日(水)に兵庫県消防学校で心理学の講義を行いました。
兵庫県消防学校では通信指令員のための特別教育「通信指令科」を2019年、2021年に実施されており、今回で3度目の担当となります。「通信指令と心理学」というテーマで、コミュニケーションの心理学や緊急時の心理を解説し、通報者の心理調査や、通信指令員の心理調査、事前知識が通報に及ぼす影響の実験研究、映像通報システムの効果検証実験、映像通報システムや救急安心センター事業(♯7119)の認知度調査などの知見を紹介しました。研修会には、兵庫県下で通信指令員として勤務する消防職員の方を中心に、滋賀県・京都府・和歌山県下で通信指令員として勤務する消防職員の方も合わせて45名の方が参加されていました。大変熱心に受講いただき、体験課題などにも取り組んでいただきました。今回の講義が、火災や救急などの緊急時において、通信指令員と住民の皆様との円滑なコミュニケーションにつながることを願っています。
愛媛県消防長会「119番口頭指導技術研修会」講演
愛媛県消防長会からご依頼いただき、2023年11月6日(月)に松山市保健所・消防合同庁舎で心理学の講演を行いました。
愛媛県消防長会では、119番通報を受信する通信指令員が通報者の方から適切に聴取する技術、必要に応じて応急手当を指示する口頭指導の技術を高めることを目的に「119番通報口頭指導技術研修会」を開催されています。また、松山市消防局では今年度4月から映像通報システムを試験的に導入されており、119番通報の際に活用されています。はじめに、松山市消防局の通信指令員の方による映像通報システムを使用した聴取や口頭指導の技術発表がありました。
その後、「通信指令の心理学」というテーマで講演を行いました。コミュニケーションの心理学や、緊急時の心理を解説した後、119番通報に関するこれまでの調査や実験の知見を紹介しました。その中で、昨年度実施した映像通報システムの研究をお話しました。
研修会には、愛媛県内の消防本部で通信指令員として勤務する職員を中心に35名の消防職員が参加されていました。熱心に受講いただき、貴重なご意見やご質問をいただきました。今回の研修会が、愛媛県内の通信指令員と住民の皆様との円滑なコミュニケーションにつながること、映像通報システムの更なる活用につながることを願っています。
豊田市消防本部・研修
愛知県豊田市からご依頼をいただき、2023年10月16日(月)に豊田市消防本部で「119番通報における通報者と通信指令員の円滑なコミュニケーションに向けて」というテーマで研修講師を担当しました。研修には、豊田市消防本部で通信指令員・救急隊員として勤務する消防職員97名の皆様に対面及びオンラインで参加いただきました。大変熱心に受講いただき、貴重なご質問やご意見をいただきました。
研修後、豊田市消防本部の指令室や防災学習センターを見学させていただき、小中学生への応急手当普及のユニークな取組みも教えていただきました。今回の研修が、通信指令員・救急隊員の皆様と豊田市民の皆様との円滑なコミュニケーションにつながることを願っています。
青森県消防学校・通信指令員研修
2023年10月29日(日)、青森県消防学校からご依頼いただき、通信指令員の方を対象にした研修の講師を担当しました。通信指令員は、急病や火災などの緊急時に地域住民の方からの119番通報を受信し、質問や応急処置の助言を行い、救急隊や消防隊を出動させます。今回、青森県消防学校特別教育「災害対応力向上コース」において、「通信指令教育における心理学の導入」と題して、コミュニケーションの心理学、緊急事態の心理、119番通報の心理学的研究知見について、お話させていただきました。今回の研修は、弘前地区消防事務組合消防本部からの提案があり、青森県消防学校主催で実現しました。研修には、弘前消防本部や青森県内各消防本部で通信指令員として勤務される消防職員の方およそ60名にご参加いただき、大変熱心に受講いただきました。今回の研修が、災害や急病、怪我、救助など緊急時において、青森県下の通報者と通信指令員の皆さんとの円滑なコミュニケーションに何か少しでもお役に立つことを願っています。