広島社会心理学研究会で発表予定

日時: 2017年3月4日(土) 15:00~18:00
場所: 広島大学東広島キャンパス 総合科学部 事務棟 3階 第一会議室

発表者:  木村昌紀(神戸女学院大学)

発表タイトル:  協調・非協調状況の対人コミュニケーションに関する日本・中国間比較

発表概要:
日本人と中国人の対人コミュニケーションは何が違うのか。この問いに対して、これまで実験的にアプローチしてきた一連の研究成果を発表する。
両国は東アジアの隣国同士で、昨年の訪日中国人数は過去最高を記録した。観光を中心に、留学等を含め、日本人と中国人によるコミュニケーション機会が急速に増加している。円滑な交流を促進するためにも両者のコミュニケーション特徴の共通点と相違点を整理したい。
前半は、協調状況における対人コミュニケーションに焦点を当てる。互いを知り、親密な関係構築を目指す情緒志向的なコミュニケーション場面と、特定のテーマを話し合い、一つの結論を導く課題志向的なコミュニケーション場面を設定し、日本人と中国人それぞれを対象にした比較実験の結果を報告する。表現のスタイルで両者の特徴が確認されたものの、当初予想していたほど両者の明確な相違点は見いだせなかった。
後半は、非協調状況に目を向ける。模擬的に役割分担を行い、一方が依頼してもう一方は断るという葛藤的なコミュニケーション場面と、特定のテーマで対立的な立場から双方が説得を試みる競争的なコミュニケーション場面での比較実験の結果を報告する。日本人と中国人のコミュニケーション特徴の違いは非協調状況下で顕在化する可能性が示唆された。
本発表は毛 新華さん(神戸学院大学)との一連の共同研究をもとに行う。私たちが初めに研究を構想した時から、気がつくともう10年近くになる。試行錯誤の中で少しずつ研究を進めてきたが、いまだ残された課題は多い。皆様からご意見・ご批判をいただき、さらに研究を前進・発展させていきたい。